女:彼専属の騎士
私は昔から
彼としか乗馬をしない
馬に股がって
よい走りを求めて
全身全霊で乗りこなす
そんな姿を
恥ずかしくて本来は誰にも見せられないからだ
よりよい走りを
どこまでも求める時に
自分のなりふりなんて構っていられない
そんな姿を本当は誰にも見せたくない
だけど
彼の場合だけは
我慢できずに
彼の身体をむさぼるように
なりふり構わず乗馬してしまう
恥ずかしい気持ちよりも
乗馬したい気持ちが勝ってしまうのだ
馬がどうかなんて関係なく
私が主導権をにぎって
私自身の身体を好きに動かす
主導権を握っていると思っているのも束の間
時折
馬の方から突き上げるような
衝撃的な感触は
馬の方が私の求めるゴールへ
導いていくのだ
無心で欲望の赴くままに向かうゴールの向こうには
電流が身体中に流れるような
爆発的な快楽が待っている
身体の内部がヒクヒクし
じっとしていられないほどの快楽と疲労感ののち
馬から降りるのだ
ゴール直後は
ゆっくり休みたい気持ちに駆られるのだけど
馬好きの私は
またすぐに乗馬したくなってしまうことは
彼には内緒にしていようと思う